母との確執

20年くらい前に
母が若い頃に着ていたコートを
私にくれました。


カシミアの
1枚仕立てのコート。


「ちーちゃんにサイズぴったりだから」


って、、、

 

私の母は若い頃
本当にオシャレさんでした。

晩年は安い物自慢オバチャンでしたが
若い頃は安物は着なかったと
いつも得意気に、私に言ってたのを
覚えています。


私は子供の頃はパパっ子で
母と3つ上の姉には馴染めず
いつも「溝」を感じて育ちました。

私は自由人の申し子みたいな
子供だったから
恋愛やら
やりたい事やら
徹底して潰されたら
若いし、まー、イヤですよね(^_^;)


今、思うと
母や姉の想いも理解できるのですが
つい最近までは、頭で理解はしていても
ハートでは拒絶状態だったのも事実です。

なので、このコートを
母から譲り受けた時
実は抵抗感があって
ずっと着れてなかったんです。


クローゼットの奥に眠ったまま
いくつもの越冬を致しました()
母は18年前に亡くなっていますが
心のシコリは残ったまま
時が過ぎてしまい
コート事などすっかり忘れてて。。。


去年からずっと
自分の心の整理整頓をする為に
スピリチュアル的な見解だけでなく
学問的に知りたくなり
心理学をお勉強していました。


色々と心の中を観ているうちに
母や姉への考え方が変わり
やっと雪解けた頃
お引越しをした際に
ペロンと出て来た、このコート。


先日、写真家の塚本ダイさんの
お写真の撮られ方レッスンで
ロングコートのご提案があり
その時、初めて袖を通しました。


「ちーちゃんなら、サイズぴったりだから」


って、着せてくれて


「うんうん、よく似合ってる。
可愛い。」

って、ニコニコしてた母の顔が
目の裏に蘇って参りました。



ちょっとだけ泣けました。

 

私と母の関係は
真珠に似てるな。。。って。
思うのです。

真珠の出来る過程ご存知ですか?

真珠は貝の中に入り込んだ異物を
吐き出す事ができず
痛みを伴いながら
真珠質を分泌し
傷をかばい
何層にも包み込まれ…

あの神秘的な輝きを放つ
真珠が出来上がります。


いつも異物は
痛いけど、大切な事に
気づかせて頂けますね。

 

異物(過去の出来事)ばかりに
焦点を当ててしまっては
新たな傷を生み出しますが


傷を消そうとするのではなく
受け入れて
自分の中で大切に包んであげてこそ

奥底から輝けるのだと
今は心から思います(^^)



死んじゃったら。。。

「ごめん」も
「ありがとう」も

言えないし

「ハンバーグ食べたい。」

とかも言えないんですよね。


当たり前の事だけど
そうなんですよね。



私が
32歳の時に
突然この世を去ったお母さん。


物質的な親孝行は
何も出来ないままだったけど


姉妹仲良く
傷や確執もヒラリと飛び越えて

お互いの道で
輝いて生きる事が
一番の親孝行なのだな〜って。


形も大事。
無形も大事。


そんな大切な気持ちを頂いた
撮影でした。

 

 

お母さん、コート着たよ。
あの日の様にニコニコしながら

「よく似合ってる。可愛い。」

って言ってくれたら嬉しいな(^^)

沢山の愛を込めて
ありがとう❤️

Photo  by.塚本ダイさん

 

八鍬千夏Instagram